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平成30年度 九州防災・減災シンポジウムin遠賀川
いのちを守るために、今できること
1月24日(木)13:00 国土交通省九州地方整備局

 会場 直方市 ユメニティのおがた 
 
 
あと14㎝・・・ 堤防ぎりぎりに流れる川の様子を見てだれもが不安になったことでしょう。
遠賀川は頑張りました。
遠賀川は昔より何度も洪水を繰り返し、治水事業が行われてきました。
平成15年 7・19大水害、一昨年九州北部豪雨災害、昨年は西日本豪雨など遠賀川流域各地で災害が起きています。
昨年の災害では、流域内の10の観測所で観測史上最高水位となりました。流域内各地で浸水被害が発生しています。
今回のシンポジウムin遠賀川では、遠賀川流域の自治体、県内外の行政や関係業界の皆様、そして、日々活動している河川愛護団体、住民団体や遠賀川をよりどころにしている皆様620名が参加されました。
災害で逃げ遅れて命をなくすことのないように、自分の問題として、家族の問題、地域の問題として行動に繋げていきましょう。
   
 
 主催者挨拶
 国土交通省では「施設では守り切れない大洪水は必ず発生するもの」へ意識を変革し、社会全体で洪水に備える「水防災意識社会」を再構築する取り組みを行っています。
近年、全国各地で発生している豪雨災害の特徴や、遠賀川において平成30年7月豪雨(西日本豪雨)で、観測史上最高水位を観測したことなどを踏まえ、インフラの重要性や、その効果を認識するとともに、ソフト対策により地域防災力を向上し、地域住民の的確な避難行動に繋げることをテーマにシンポジュウム開催します。

基調講演

   
   
 テーマ  近年の豪雨災害と気候変動適応  
講 師  中北 英一  京都大学防災研究所教授  
 
 
「近年、これまでに経験したことのない豪雨が頻繁に起こっている。地球温暖化の影響が出だしているのでは?。今までの常識が通用しない。豪雨はより頻繁に、より強力に、初めての地域でも起こりうる。強力ではないが広域で長時間の雨が降る。更なる被害が広がる。

地球温暖化の適応として、後悔しないように、気候変動将来予測を軸とした、早め、そして計画的に対応することが必要。治水の基礎体力の増強。自助・共助としての防災力の増強。しかし、ともに時間がかかる。じわじわでも温暖化の進行の方が早い。後悔しないために早めそして計画的な対応が求められている。」
併せて、2017年の九州北部豪雨や2018年西日本豪雨の気象データと共に頻発する豪雨のメカニズム等分かりやすくお話していただきました。

水災害・水資源に関し、わが国でおおよそ何が推測されているのか?
  
・100年に一度起こる規模の河川最大流量が九州・四国・近畿・東海地方の太平洋側で
 増大する。
・10年に一度の少ない規模で起こる河川流量が北日本と中部山岳地帯を除く多くの流域
 で悪化し、融雪水を利用している地域では、融雪ピークの減少やそれが早期化する。
・ダム操作のの有効性が変化する。
・西日本太平洋側を中心に、表層崩壊や、深層崩壊という数10mの深さで、かつ水平規模
 の大きい斜面崩壊の危険性が増大する。
・100年に一度の規模で起こる高潮・高波が一部の主要湾で悪化する。
 降雪、積雪状況の変化により、水ストレスが増加する


適応に向けて大切なこととして
1.対象とする河川流量などの設計地を見直す。
2.気象変動下での最悪ケース群を想定する
3.高い不確実性の中で後悔しない意志決定
4.普段の「しんどい管理」の「じわじわ」とした高頻度化、これが今後、現場のしんどさ・
  疲労増大に結びついてリアルタイム防御システムの安全性を低下させる、
  そのようなことがないように対応していく。 
5.シリアスに早期に逃げること。やばいと感じること。
6.危険場場所には住まないこと。 
7.猛暑や水不足など、普段の場のじわじわ変化への適応。
   
   
典型的な梅雨集中豪雨(線状対流系)次々に積乱雲が親から子へ孫が誕生するようにでき、それが線状対流系となり、次から次へと同じところに豪雨が続き、被害が大きくなる。
夜間に集中豪雨が多いというデーターは存在するが、ゲリラ豪雨はそうではなく、晴れた午後に発生しやすい。 
   人的被害の特徴


岡山県の水害による死者は高齢者が多く被災された。
   
   地球温暖化がこのままの状態が続けば、2100年には約4℃上昇する。
日本への影響は

・台風は、日本への到来回数は減少。
 スーパー台風の危険性は高まる。
・梅雨 7月上旬の日100以上の割合や、集中豪雨     の生起回数が増える。
 日本海側の豪雨も増える。
・ゲリラ豪雨 
 都市化や下層水蒸気の流入増があり増えるだろう。
   

パネルディスカッション
頻繁する豪雨災害への備え

 
 
 
 
 
 
 コーデネーター  納富昌子氏
 フリーキャスター
パネリスト       秋山 壽一郎氏
  九州工業大学 
田中 俊徳氏
 FBS福岡放送報道局報道部副部長
 九州災害報道(報道)研究会幹事
有松 賢作氏
 元「7・19大水害被害者の会代表世話人」
壬生 隆明氏
 直方市長
高橋 幸子氏
 NPO法人直方川づくりの会
大野 良徳氏
 遠賀川河川事務所長
大野良徳遠賀川河川事務所長
  平成30年7月の豪雨は、遠賀川中流域においても400mmを超えるまとまった降雨量が観測さ氾濫危険水位を超えた水位観測所があり、直方市でもあと14㎝というひっ迫した状況であった。今後、洪水氾濫を未然に防ぐために優先的に整備が必要な区間において堤防のかさ上げなどを行い、洪水時の逃げ遅れによる人的被害を0に実現。 
秋山 壽一郎氏 
   遠賀川は直方・鞍手あたりまでは湾であったため、山に囲まれた上流部の支川の一部を除いて勾配が緩やかで地盤の高さが低く、内水が氾濫しやすい特徴なっている。
ハード面の対策として、治水事業は費用対効果を考え実施されるが、構造物が役に立っていないからではなく、着実に進めていくことが大切。
田中 俊徳氏
  報道各社と連携して取り組んでいる。災害時は多くの人が見ている。子どもにも分かるように伝えることが大切。報道では指示はできないので、どう行動アクションを起こしてもらえるか、自分の事として考えてもらえるように報道することが大切。「命にかかわる降り方」がポイントとなる。 
有松 賢作氏 
  平成15年7月19日の飯塚大災害を経験、この体験を次世代に伝え、いざという時に役立ててもらうため、災害時の対応マニュアルや避難グッズの準備「災害は忘れたころにやってくる」 のチラシを配布。また、高齢者の一時避難場所として、高層マンションができたので、避難させてもらうようにした。そのため、日ごろからのコミュニケーションが大切。飯塚は山笠という組織で若い人たちとのつながりが大きな力となっている。
壬生 隆明氏 
  昨年の豪雨での避難所の運営で混乱した。3,000人の毛布や食料が不足、市民アンケートを実施し改善につなげていく。また、災害時の職員の配置について、部署ごとにしていたが、職員の移動等があり、経験が生かされない。配置の見直しや、住民も共に避難所の運営など検討もしたい。また、早めの避難等で、住民に毛布や避難時の食料を準備していただくなど検討していく。 
高橋 幸子氏
   それぞれの自治区で住民が町を歩いて危険個所をさぐる「マイ、ハザードマップ」を作成することでコミュニケーションが生まれる。また、自分の避難行動を時系列で整理する「マイ・タイムライン」を紹介いただいた。