日時 | 平成26年11月23日 |
会場 | なつき文化ホール(嘉麻市岩脇) |
主催 | NPO法人遠賀川流域住民の会 遠賀 中間広域連携プロジェクト推進会議 直方 鞍手広域連携プロジェクト推進会議 嘉飯都市圏活性化推進会議 田川広域連携プロジェクト推進会議 |
遠賀川は人々に限りない恵みを与え、生活に潤いと調和をもたらす私たちの'生命(いのち)の川'です。そして産業、経済の礎となって流域の歴史を育んできました。しかし、近年における社会情勢の変化にに伴い、水質汚染やゴミの不法投棄などで遠賀川は泣いています。昔のようなきれいな川、癒しの空間を求めて流域住民が立ち上がり、清掃活動や森林保全活動が展開されています。 そこで、遠賀川流域住民の会は活動団体や流域住民に呼びかけ、情報交換や交流を深めようとILOVE遠賀川流域住民交流会を開催してきました。また、昨年から遠賀川流域の20の市町村と福岡県が実施している遠賀川水系広域連携事業第2回流域連携フォーラムを共同開催いたしました。 オープニングでは'川筋太鼓保存会 飯塚響学館 かがり火太鼓’を演奏、中学生から高校生を中心とした結成8年目のチームです。平成26年7月9日には、台湾で行われた世界ユネスコ音楽文化祭に出場し、日本を代表して演奏を行い、世界中から集まった海外の人々に日本の和楽器の素晴らしさを伝えてきました。たくさんの人々に感動を与えられるように日々努力して練習をされています。 和楽器の迫力ある演奏に会場のみなさんは魅了されていました。 また、当日は第5回遠賀川景観写真コンテスト及び遠賀川スケッチコンクール受賞者の表彰式が行われました。 基調講演 演題 山上憶良と遠賀川の暮らし 講師 嶋田 光一氏(飯塚市教育委員会 文化財保護課長 ※ 活動事例発表 アカザを守る会の取り組み 武貞 誉裕氏(アカザを守る会代表) ゴミの減量作戦(葦の利活用) 安部 和義氏 (嘉穂水辺の楽校周辺の環境を守る会 事務局長) |
飯塚市教育委員会 教育部 文化財保護課 課長の嶋田光一氏に、奈良時代(7・8世紀)の「 山上憶良と遠賀川流域のくらし」をお話していただきました。 万葉集の歌人としてとして有名な山上憶良は、60代の後半に中央から国司として筑前に赴任、大宰師として赴任した大伴旅人と知り合ったことで、たくさんの歌が詠まれた。遠賀川流域で万葉集に歌われている土地は田川郡香春町、遠賀郡岡湊(芦屋町)、嘉麻郡の郡家(嘉麻市稲築)の3か所である。 山上憶良は筑前国内を巡視、遠賀川上流域の嘉麻郡の郡家(郡の役所)で、「惑へる情を反さしむる歌」「子等を思ふ歌」「世間のとどまり難きを哀しめる歌」の三首の歌を詠んでいる(嘉摩三部作)。憶良は華やかな歌を詠むではなく、農民や女性、子ども、老人など庶民の目線に立った歌を多く詠んでいる。 代表的な作品に 銀も金も玉も 何せむに 勝れる宝 子に及かめやも しろがねも くがねも たまも なにせむに まされるたから こにしかめやも 歌の意味;銀も黄金も玉も何になろうぞ、子どもに優る宝が世にあろうか 遠賀川河川敷中之島に架かる芳雄橋の中央から上流側に降りていくと、山上憶良の万葉歌碑がある。橋の入口には「憶良口」と記されている。
また、 嘉麻市の稲築(いなつき)、稲築公園には、嘉摩三部作をはじめ憶良の歌碑が数多くあります。嘉麻市を貫く遠賀川の西側丘陵地に位置し、眼下に豊かな田園風景が広がります。 |
アカザを守る会の取り組みを代表の武貞 誉裕氏にお話していただきました。 平成8年より添田町の河川で川に棲む淡水魚の調査をはじめて、平成23年夏、環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されているナマズ目のアカザを確認、その後、「身近な川にも希少な生物がいることを知ってもらい、川への関心を高めてもらいたい」と平成24年1月に「アカザを守る会」を結成し、流域の生態調査や河川のゴミ拾いを始められた。同年6月17日アカザの捕獲に成功。 アカザの保護活動として、河川のゴミ拾い、水生生物の生態、水質調査を実施。 子ども達との川遊びとして、自然の豊かさに触れる。地域への愛着、親子で遊ぶ機会を作る 広報活動として、自然保護の豊かさ、自然と触れ合うことの楽しさ、添田町の自然の豊かさ 未来に向かっては、自然を愛し、ふるさとの自然を守る気持ち、自然を起点とした地域の活性化につなげたいと話された。 |
ゴミの減量作戦(葦の利活用) 安部 和義氏 (嘉穂水辺の楽校周辺の環境を守る会 事務局長)にお話をしていただきました。 主な活動として 〇公園の上下流(1km)の草刈りと焼却 年3回 〇公園の草刈り清掃活動毎月20日前後(4月から11月) 〇こいのぼりの掲揚 〇葦のたい肥作り〜米づくり 葦は川面に根を張り、家庭の雑排水などの汚れを吸収してきれいにする浄化作用がありますが、反面、刈り取らずに放置しておくと、冬場に枯れ、翌年の梅雨の大雨で下流に大量に流れ出ます。流れた葦は、芦屋町の河口堰や海岸に流れ着き、漁業や芦屋町の景観を損なうなどの被害が出ています。また、このゴミの撤去費用にたくさんの税金(国・県・芦屋町)が使われています。 この葦を何とかしようと、三親会や遠賀川源流で活動する人々、NPO遠賀川流域住民の会、嘉麻市、国土交通省遠賀川河川事務所等が検討を重ねてきました。平成21年4月1日、「嘉穂水辺の楽校周辺の環境を守る会」を結成、会員90名でスタートしました。そして、平成22年6月、同会は嘉穂水辺の楽校周辺の整備を遠賀川河川事務所を通して、地元の嘉麻市と受託契約を結びました。 ゴミとして大変迷惑している葦は昔、家畜の糞尿と混ぜ合わせて堆肥として田畑に利用していました。しかし、大変な労力を要するため近年は化学肥料に変わって堆肥づくりは消滅しました。 会の皆さんは、刈り取った葦を堆肥小屋へ運び、細かく裁断して米ぬかを混ぜ水をかけて約半年間かけて堆肥を完成させます。この堆肥を近くの農家で、水稲に施して「葦米」のブランド化を目指し、今秋はじめてのお米ができまし。 今後は「遠賀川の葦米」としてブランド化や葦の堆肥を施した野菜作りを推進。「嘉穂水辺の楽校」がさらに住民の憩いの場になるよう、会員一同研鑽します。遠賀川上流や支流にたくさんの葦が繁茂しています。この活動が流域全体に拡大し、ゴミのない、きれいな遠賀川を目指します。 |