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自然公園的発想で創られた自然公園にて

日時 2010年12月25日(土)
場所 福岡県田川市白鳥
主催 日本野鳥の会 筑豊
 

万年池は水の浄化機能を持った葦が生い茂り、多様な水辺の環境が保存されている最後のため池です。池にはヨシ(アシ)ヒメガマが生い茂り、林にはコナラ・アラカシなど、どんぐりの仲間も多く生えています。また、チョウトンボ・コシアキトンボ・ショウジョウトンボ・ギンヤンマ等の昆虫類が生息しています。

さらに、マガモ・ハシビロガモなどのカモ類がロシヤ・シベリヤ方面からはるばる渡ってきて、安心して冬を越す池でもあります。

過去の調査では、福岡県の鳥類レッドデーターリストで準絶滅危惧種に指定されている、ヒクイナ・オオヨシキリも見られ、2007年の記録では、46種の鳥が観察されています。

この様に多くの野生生物が暮らしている貴重な田川市の自然遺産を次の世代に確実に継承することが求められています。

万年池自然公園の整備は田川市に対して、この間、日本野鳥の会をはじめ、筑豊の環境保護団体市民と相談しながら「鳥や生き物との共存を図る自然環境を生かした万年池残す要望書」を提出して市と交渉を進めて来ました。

結果、田川市の環境重視の市政方針から合意に至り、2010年5月に自然公園発想による「白鳥ふれあい自然公園」として完成しました。

万年池自然公園の整備の特徴
 
 ・都市公園型ではなく、鳥や生き物との共生を図る自然公園的発想による整備を行うように、田川市と環境保護団体、市民などと意見交換会を行っています。
 ・鳥や生き物の安心を確保できるブラインド(観察壁)を2カ設置して環境教育にも活用できるものしています。
 ・コナラが生い茂る小山のの南北2カ所に渡り鳥の避難場所や隠れ棲家を確保しています。
 ・ 北側の土地整備の放面は、日本芝生を使用して植物の自然遷移を促す工法を採用しています。
 
 
 観察会後公園のゴミ拾いを行いました。池の中にもゴミが捨てられています。生き物たちの大切な棲家です。ゴミは捨てないようにお願いいたします。


これまでの経過

万年池について田川市と「万年池の整備についての要望書」を
提出した団体の話し合いが行われました。

 平成20年2月4日(月)、田川市で、日本野鳥の会 筑豊支部の皆さんの呼びかけで要望書を提出した団体や個人の皆さんが、市長をはじめ市の関係者の皆さんの説明を受け、話し合いが行われました。
 冒頭、伊藤田川市長は「今後の地域づくりでは人と自然との共生を大切にしていきたい」とあいさつされました。
 田川市の回答
は以下のとおりでした。
  • 万年池の整備計画は全体で6.9haであり、その内、企業誘致に向けた土地整備の3.4ha(有効面積3.0ha)は最低必要であるため、現在の調整池2.1haを確保するのは難しいが、残りの3.5haの整備(調整池+公園)に於いて、調整池については、環境に配慮をし、水鳥が生息できるような整備を計画したい
  • 万年池の整備は平成20年度の施工計画であるため、長期間の環境調査は不可能である。
  • 万年池周辺の白鳥工業会からも、万年池に対する整備の要望があり、住民地域の憩いの場として整備も視野にいれ、且つ、現在の鳥類の生息ができるように最大限努力して計画をしたい。
  • 観察壁については今後調査し、生垣による目隠しについても、維持管理等のことを充分考慮して検討していきたい。
  • 日本産芝を使用する方向で検討したい。
  • 現在万年池の西側の小山については、数年来整備されてなく荒廃しており、景観的にも、防犯的にも問題があり、また、不法投棄なども見られるため、野鳥の会の方の意見を聞きながら剪定と伐採をし整備していきたい。
  • 経済の発展及び雇用の拡大を図るために、田川市は最重要課題として企業誘致に取り組んでいる。現在分譲地の本市工業団地は望岳台団地のみで、筑豊地区に分譲中の工業団地が少ないため、同団地への問い合わせは非常に多く、今後を考慮した場合。望岳台団地以外の工業団地を早急に整備する必要があります。よって、企業のニーズとして非常に多い3ha程度の用地を確保でき、工業専用地域内である万年池を工業団地として整備するものである。
  • 企業誘致に向けた土地整備の3.0haはあくまでも有効面積であり、この3.0haを確保するために約3.4ha必要になってくる。したがって残りの3.5haで調整池と公園の整備をしていきたい。
今回の回答で、市は西側の入り江を埋め立てる計画をしていましたが、入り江は野鳥が外的から身を守るために大切な場所であることから埋め立てを中止、その代わりに、東側を埋め立てて、のり面を作る計画に修正されました。当初より心配していました「野鳥の生息場所やアシも残った」として、出席された皆さんは市の回答に了承されました。また、市は今後、「池の生態系に配慮した工事等を行っていきたい。野鳥の会の協力をお願いしたい。」と話されていました。


万年池の自然観察会が開催されました。

12月23日(日)田川市伊田(白鳥工業団地内)の万年池で、日本野鳥の会筑豊支部主催で開催。万年池周辺は、新しく企業も進出、近くには総合運動公園や東鷹高校などがある。田川市では、この万年池の1/4を整備して企業誘致に造成をする方針が進められている。しかし、「鳥が外敵から隠れる場所がなくなる」として同会では万年池の現状の広さの存続を願っている。 

 
 オオヨシキリ ヒクイナ

 田川市伊田の調整池「万年池」(2.1㌶)は、JR伊田駅から南に約2kmにある白鳥工業団地内にあります。昔は、もっと広く、池でも遊んでいた、といわれていますが、現在では、工業団地の造成に伴ってできた洪水調整池として機能しています。近くには田川市総合体育館や中央運動公園、また、東鷹高校があります。

 田川市は今から22年前(1985年)に団地を整備した地域整備公団(現中小企業基盤整備機構)から「公園などで活用する」ことを条件に無償譲度を受けました。

 現在はこんもりした林があり、木々におおわれ、水の浄化機能を持った葦が生い茂り、多様な水辺の環境が保存されている貴重な池となっています。

 池には、マガモ・ヒドリガモ・ハシビロカモ・コガモ・カルガモ・オカヨシカモなどなど、75羽を超えるカモがロシヤ・シベリア方面から遥々渡ってきて、安心できる越冬の地に「万年池」を選んでいます。

 また、夏場には、国のレッドデータブックの絶滅種Ⅱ類にリストアップされているヒクイナやオオヨシキリ(福岡県レッドデータブックの準絶滅危惧種)などが生息している野鳥の宝庫です。

 植生物調査でも、99種もの木本・草本が確認されています。チョウトンボ・コシアキトンボ・ショウジョウトンボ・ギンヤンマなどのトンボが見られ、調査を続けると20種以上は期待される環境となっています。

 現在、市はこの万年池の1/4に当たる0.5㌶を含む約3.4㌶(総面積約6.9㌶)を工業用地として造成する計画しています。

 日本野鳥の会筑豊支部では、「池は自然の宝庫であり、市民の財産として池を現状保存をしてほしい。」と市に要望書を提出することにしています。

 今回の観察会は万年池の重要性をもっと知ってほしいと願って開催されました。自然を壊すことは簡単ですが、壊れた自然は元には戻りません。少しでもたくさんの自然を子ども達に手渡すために!皆さんも一緒に考えてみませんか。